チュートリアル講演

講師 谷川 眞一 氏 (東京大学)
講師 大谷 まゆ 氏 (サイバーエージェント)

チュートリアル講演 TL01

グラフ剛性の理論と応用

講師

谷川 眞一 氏 (東京大学)

概要

グラフ剛性理論とは、リンケージやトラス構造など,離散的構造物の剛性の数理モデルを取り扱うための枠組みであります。空間内の点対間に対する距離制約など、幾何制約システムの背後に潜む代数的・組合せ的性質を解析するための数理的ツールやアルゴリズムを開発することが目標となります。本講演では、グラフ剛性理論の数理的基礎を解説し、ネットワークの配置同定問題や隊列制御などの具体的話題との関係を紹介します。

チュートリアル講演 TL02

コンピュータビジョンタスクの評価

講師

大谷 まゆ 氏 (サイバーエージェント)

概要

近年のコンピュータビジョン分野では共有されたデータと評価方法を使うことが主流となっており、評価方法は技術発展の方向性を大きく左右しています。一方で研究コミュニティはその労力の多くを手法開発に費やしており、評価方法については置き去りにされていることもあります。本講演では、物体検出や頑健性向上などのトピックを例に、コンピュータビジョンタスクの評価における課題と最近の取り組みを紹介します。

チュートリアル講演 TL03

モデル誤差抑制補償器の実装による既存制御システムの簡易ロバスト化

講師

岡島 寛 氏 (熊本大学)

概要

制御システムを対象が持つモデル誤差や外乱に対してロバスト化するための補償器構造として、講演者が研究を展開しているモデル誤差抑制補償器(MEC)の研究を概説します。既存のシステムにマイナーループの補償を行うことで制御系のロバスト性が向上します。モデル誤差抑制補償器と既存制御系とを併用することで非線形系や入出力数の異なる多入出力系、非最小位相系など様々な系を簡単にロバスト化することができます。本チュートリアル内では、基本構造からモデル誤差抑制補償器の特徴、様々な系への利用方法などについて紹介します。また、周辺研究のとして、外乱オブザーバやスミス補償器、内部モデル制御、2自由度制御系(条件付きフィードバック)などとモデル誤差抑制補償器との関係についても触れたいと思います。最後に、講演者が開設しているYouTubeチャンネル「制御工学チャンネル」の動画や講演者のGithubアカウントから提供しているMATLABコードなど、MECを利用する上で有益な情報の提供も行います。

チュートリアル講演 TL04

フェーザ四元数ニューラルネットワークの枠組みとその本質: センシング・イメージングにおける「物理を知っているニューラルネット」

講師

廣瀬 明 氏 (東京大学)

概要

近年筆者らのグループが提案したフェーザ四元数ニューラルネットワークは、レーダイメージングや電波伝搬における予測・適応処理で大きな威力を発揮する。本チュートリアルは、その基本にある考え方を解説するとともに、それらアプリケーションでの実際の様子を紹介して、議論を行うとともに将来を展望する。

チュートリアル講演 TL05

日常活動下における人間の生体計測技術とバイオメディカルビッグデータの利活用

講師

湯田 恵美 氏 (東北大学)

概要

 腕時計型や指輪型の生体センサは,遠隔医療の発展に伴って普及し,通信技術,低消費電力,IoT応用などセンサ技術開発が進んでいる.ウェアラブルセンサの普及率が高い米国では,ワークアウト検出やプライバシー保護といったテクノロジーを早期に採用している.
最新研究では,既に感染症の罹患を潜伏期から予測できる状況にあり,人々の健康管理に大きく寄与している.他方,生体データを活用するプラットフォームの構築は課題であり,計測されたデータの匿名化技術や研究応用を通じて,日常活動下から得られるヒトの生体信号を利活用していく必要がある.
 本講演では,安全・ヘルスケア,診断・スクリーニング,治療.リハビリテーションに至るまで幅広い分野で応用が可能な(1)非侵襲生体計測手法,(2)生体ビッグデータ解析から得られた知見,(3)セキュアデータベース構築などデータ利活用の素地となる重要技術について,最新の研究を報告したい.